第一章

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隼人はかつて、真由の彼氏だった。 二人は結婚を前提に、付き合っていた。 その幸せに、明美が割り込んできた。 明美は、酔った勢いで、隼人を誘惑したのだ。 隼人もやはり男で、誘惑に負けて、明美と肉体関係を持った。 そして、事あるごとに誘う明美の誘惑に負け、二人は肉体関係を続けた。 それが真由にばれたのが、2年前の事だった。 1年以上も、二人に騙されていた真由は、2度としないという隼人の言葉が信じられず、自分から別れを切り出した。 しかし、あれから2年後、その裏切り者が結婚をするのだから、その後の事は容易に想像できる。 真由に振られて落ち込んだ隼人を、優しくなぐさめた明美。 2年間の交際を経て、結婚へとたどり着いたのだった。 真由は、隼人と明美を憎んだ。 結婚式に呼ばれたのも、二人が真由に対して、時効だと判断したからだろう。 真由は、隼人の事がずっと忘れられなかった。 隼人が、もう一度真由に謝罪をしたら、許すつもりでいたのだ。 だが、彼は一度許されなかっただけで、真由を諦めた。 真由は、いつ隼人が戻ってもいいように、自分を綺麗に磨き上げた。 でも、それはもう必要ない。 だったら、二人に復讐しよう。 真由の心の中に芽生えたものが、復讐だった。 二人を見送る真由に、そんな感情がある事を、誰が思い描いただろうか。 裏切り者には、制裁を与えなければいけない。
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