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真由がまた戻ってきた事を、明美は知った。
誠二が、真由を迎えに行ったと、麻子に聞かされた時、明美は真由への嫉妬心で、正常な精神を保てなかった。
真由が持っているものすべてが、まるで自分のもののように、感じる。
それを、真由が明美から奪っていったような感覚だ。
明美の心は、荒んでいた。
自分勝手な嫉妬心は、憎しみへと変わっていく。
隼人と離婚したのも、真由のせいだと、明美は勝手に思っていた。
誠二がいない時間を見計らって、真由を訪ねた。
「真由、久しぶり。」
明美の顔を見ると、真由は吐き気がした。
きっと、体が反応してしまうのだろう。
「明美、もうあなたには会いたくないの。」
真由の言葉に、明美は腹が立った。
「私だって、あんたなんかに、会いたくなかったわ。
あんたが、誠二を私から奪ったんじゃない。」
「え?」
明美の言っている事が、真由には理解できない。
「真由がいなければ、きっと私誠二と付き合っていたわよ。あんたがまた現れて、邪魔して。一度わかれたのに、女々しく戻ってくるなんて、ずうずうしいわね。」
明美の言葉に、真由は憤りを感じた。
だけど、いちいち相手にするべきじゃないと思った。
「話はそれだけ?帰って。」
そう言うと、ドアを閉めた。
明美は、玄関のドアを思いっきり叩いた。
「開けなさいよ!卑怯者!!!」
真由は、明美が怖くなり、麻子に電話を入れた。
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