第八章

4/7
625人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
その頃、隼人も明美の事で悩んでいた。 明美は、子供に会いに来ない。 隼人は、あれほど尽くしてくれた明美が、こんな風になるとは思っていなかった。 隼人と肉体関係を結んだのは、やっぱり麻子の言うように、真由に勝ちたかったからなのか。 そのためだけに、自分たちの仲を引き裂いたのか。 だとしたら、明美は狂っている。 それに、今思えば、隼人と関係を結ぶまで、誠二を追いかけまわしていた。 それなのに、急に隼人を好きだと言い、今度は隼人を必要以上に、追いかけた。 もし、明美がそれだけの理由で、男を奪い、真由を苦しめ生きているのなら、本当にかわいそうな奴だ。 明美の実家の両親が、毎日遊びに出ていて、仕事もしない娘を嘆いていた。 そんな女でも、子供の母親だ。 これから先、子供が成長して母親に会いたいと言った時、今の明美では、子供に会わせる事すらできない。 もう過ぎた事を、蒸し返す気はない。 せめて、まともになって欲しい。 隼人は、明美と話し合おうと思っていた。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!