第八章

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真由は、明美の事さえなければ幸せだった。 誠二の影響で、読書が趣味になっていた。 「そろそろ、私も仕事見つけないとね。」 真由がそう言うと、誠二は真由を抱き寄せて言った。 「真由、永久就職しない?」 「え?それって・・・」 「俺と結婚しよう。」 その言葉に、嬉しくて自然と涙が溢れた。 「誠二、嬉しいよ。」 そんな真由を、更に抱きしめる。 「俺は、真由とずっと一緒にいれれば、それだけで幸せだから。」 真由の頬に伝う涙を、そっと拭い、誠二は真由にキスをした。 「来週の休みには、真由のご両親に、挨拶に行こう。」 誠二の言葉に、結婚が現実になっていくのがわかった。 教会の鐘の音が、自分を祝福するために鳴る。 それを考えると、嬉しさひとしおこみ上げてくる。 「結婚式は、教会で挙げよう。」 誠二は、真由が教会で結婚式を挙げる事が夢だと、以前話していた事を覚えていた。 「嬉しい。覚えていてくれたのね。」 誠二の優しさが、痛い程伝わってくる。 もちろん、恋をするたびに、「この人しかいない」と思う。 隼人の時だって、隼人以上に好きな人は現れないと思った事もあった。 だけど、誠二との恋は、何かが違う。 それは言葉で言い表せない、安らぎや、信頼があった。
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