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真由は、明美の事さえなければ幸せだった。
誠二の影響で、読書が趣味になっていた。
「そろそろ、私も仕事見つけないとね。」
真由がそう言うと、誠二は真由を抱き寄せて言った。
「真由、永久就職しない?」
「え?それって・・・」
「俺と結婚しよう。」
その言葉に、嬉しくて自然と涙が溢れた。
「誠二、嬉しいよ。」
そんな真由を、更に抱きしめる。
「俺は、真由とずっと一緒にいれれば、それだけで幸せだから。」
真由の頬に伝う涙を、そっと拭い、誠二は真由にキスをした。
「来週の休みには、真由のご両親に、挨拶に行こう。」
誠二の言葉に、結婚が現実になっていくのがわかった。
教会の鐘の音が、自分を祝福するために鳴る。
それを考えると、嬉しさひとしおこみ上げてくる。
「結婚式は、教会で挙げよう。」
誠二は、真由が教会で結婚式を挙げる事が夢だと、以前話していた事を覚えていた。
「嬉しい。覚えていてくれたのね。」
誠二の優しさが、痛い程伝わってくる。
もちろん、恋をするたびに、「この人しかいない」と思う。
隼人の時だって、隼人以上に好きな人は現れないと思った事もあった。
だけど、誠二との恋は、何かが違う。
それは言葉で言い表せない、安らぎや、信頼があった。
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