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二人で余韻を楽しんでいる。
「結婚できるなんて、夢見たい。」
真由が言った。
「真由は、今まで辛い思いをしてた分、これから幸せになるんだよ。俺が幸せにしてみせるから。」
誠二の言葉に、真由は誠二の胸板に軽くキスをした。
「くすぐったい。」
誠二はそう言うと、真由に優しくキスをした。
「幸せすぎて、怖いくらい。」
真由がそう言うと、誠二は真由を抱きしめた。
その時、玄関の鍵がカチャっと開く音が聞こえた。
「え?」
二人は一瞬にして氷つく。
「まさか・・・」
誠二は、横に置いてあったバスローブを羽織った。
真由も、バスローブを羽織る。
恐る恐る電気をつけると・・・
「明美!!」
そこには、血だらけになった明美が立っていた。
「私を邪魔するものは、誰だって許さないんだから。私は誠二と一緒になるの。」
その血は、どうやら明美のものではなさそうだ。
だとすると、誰のものなのか、恐怖の中で、誠二は考えていた。
「明美ちゃん、何をするつもりだ?」
誠二がそう言うと、明美は、言った。
「誠二、そこをどいて。その女を始末しなきゃ。私は幸せになれないの。その女が私の幸せを邪魔したの。」明美の目は完全に、いっていた。
「落ち着けよ。真由が明美ちゃんに一体何をしたって言うんだ?」
誠二が真由を庇おうとすると、明美が逆上した。
「誠二はわかってないのよ!!!その女はね、私の欲しいものすべてを、いとも簡単に奪っていく悪魔なのよ!!!」
今の明美には、何を言ってもだめだと思い、誠二はどうにか明美が握っている凶器を奪って、力ずくで止めなければと思った。
後ろをチラっと振り返り、真由をみると、真っ青な顔で、ぶるぶる震えながら、床にへたり込んでいた。
「真由、大丈夫か?」
「真由、真由、真由、真由って、真由が何なのよ!!!」
そう言うと、明美は真由めがけて、庖丁を振りかざそうとした。
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