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「隼人、何でだよ・・・」
誠二は隼人の言っている事が、理解できなかった。
「お前、刺されたんだぞ!?」
隼人が悲しそうに笑った。
「俺が、明美をこんな風に作ってしまったんだよ・・・俺がしっかり明美を見ていれば、明美はこんな風にならなかったんだ・・・」
隼人の悲しい声に、明美の力が弱まった。
「どうして・・・」
隼人は、体に力が入らなくなり、床にへたり込む。
「明美、ごめんな。俺がいつまでも、真由を追いかけてたばかりに、お前に寂しい思いをさせて。俺が真由よりも、明美を幸せに出来ていれば、明美が真由に嫉妬する事は、なかったんだよな・・・」
その言葉に、明美は隼人を見上げた。
「どうして、どうしてなの?私が勝手にやっているのに、どうして隼人は自分を責めるの?」
「明美が犯罪者になったら、子供が悲しむだろう・・・俺たちはあの子の親だろう・・・親は子供の幸せのために、生きていかなきゃいけないだろ?・・・」
隼人の言葉に、さすがの明美も大人しくなった。
救急車が来て、隼人が運ばれて行った。
そこに付き添うように、明美が乗り込む。
一瞬の出来事で、何が起こったのか、真由は放心状態だった。
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