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救急車で病院へ運ばれた隼人は、一命を取りとめた。
「もう少し遅かったら、危なかった。」
医師はそう言った。
そして、病院側は事件性を示唆して、警察を呼んだ。
だが、隼人は口を開かなかった。
誠二や真由も、隼人の一生のお願いを聞き入れ、口を閉ざした。
隼人のお見舞いに行くと、明美が隼人に寄り添っていた。
真由は、少し怖くなり、誠二の服の袖を掴んだ。
「真由、大丈夫?」
「うん・・・」
誠二が隼人に声を掛けた。
「隼人、具合はどうだ?」
隼人と明美が、誠二を同時に見る。
そして、誠二の影に隠れた真由を見つけた。
「真由、ごめんなさい!」
そう言うと、明美が深々と頭を下げた。
何が明美をそうさせたのか、真由にはわからなかった。
「真由、誠二、本当に済まなかった。警察にも黙っていてくれてありがとう。」
誠二は持って来た花を、明美に渡した。
「花瓶があったら水入れて、飾って。」
明美は申し訳なさそうに、花束を受け取ると、病室を出て行った。
「隼人、お前に聞きたい。お前は明美ちゃんとどうしたいんだ?」
誠二は親友として、どうしても知っておきたかった。
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