弟九章

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救急車で病院へ運ばれた隼人は、一命を取りとめた。 「もう少し遅かったら、危なかった。」 医師はそう言った。 そして、病院側は事件性を示唆して、警察を呼んだ。 だが、隼人は口を開かなかった。 誠二や真由も、隼人の一生のお願いを聞き入れ、口を閉ざした。 隼人のお見舞いに行くと、明美が隼人に寄り添っていた。 真由は、少し怖くなり、誠二の服の袖を掴んだ。 「真由、大丈夫?」 「うん・・・」 誠二が隼人に声を掛けた。 「隼人、具合はどうだ?」 隼人と明美が、誠二を同時に見る。 そして、誠二の影に隠れた真由を見つけた。 「真由、ごめんなさい!」 そう言うと、明美が深々と頭を下げた。 何が明美をそうさせたのか、真由にはわからなかった。 「真由、誠二、本当に済まなかった。警察にも黙っていてくれてありがとう。」 誠二は持って来た花を、明美に渡した。 「花瓶があったら水入れて、飾って。」 明美は申し訳なさそうに、花束を受け取ると、病室を出て行った。 「隼人、お前に聞きたい。お前は明美ちゃんとどうしたいんだ?」 誠二は親友として、どうしても知っておきたかった。
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