最終章

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誰かのために、生きるという事は、とても大切な事。 幸せは一人ぼっちでは、味わえないもの。 傍に、その幸せを分かちあえる人がいてこそ、きっと幸せだと思えるのだろう。 真由は、誠二の手をしっかりと掴んだ。 「誠二、私に昔言ったよね、復讐の先にどんな幸せがあるんだ?って。」 「うん、言ったよ。」 「最近思うの。あの時、誠二に出会ってなければ、私が明美になってたんじゃないかって。 私は、中学の頃から、明美に嫉妬していた。 明美は、明るくて、お話が上手で、自分よりも、人と仲良くなるのが上手だった。 そんな時、明美がいなければ、麻子や友達を独り占めできるのにって、嫉妬ばかりしていた。 隼人と別れた時だって、明美さえいなければって、本当にそう思った。 誠二を取られるんじゃないかって思った時も、明美さえいなければって。 彼女と私は、きっとどこか似ていたんだよね。」 誠二は、真由の手を強く握りしめた。 「真由は、俺と出会ってなくても、きっと自分を取り戻していたと思うよ。だけど、俺がいないとダメな女だって、俺は言いたいけどね。」 そう言うと、意地悪に笑った。 「もう、誠二のバカ。」 そう言うと、真由も誠二を見て、笑った。 「真由、幸せにするよ。だから、俺のことも幸せにしてくれよ。」 「うん、きっと幸せにするからね。」 二人は手を繋ぎ、一本道を歩いて行く。
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