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あさ焼けをとらえるように
パラボラアンテナを南に向けた
小さなため息が白く
まんまるうきあがる夜
はつ春はつめたく
星空はサイダーの
泡のようにゆっくりと
のぼっては消えて
血は凍っても
指は動くのね
なんて、不思議がる
まるでこどもだから
こんなにも待てるのだろう
ささいな喜びでいいんだよ
常春なんて望みはしない
さいしょに言えたことばだけ
ほんのすこしの光だけ
うけとれるように、大きく
大きく広げておくから
あさ焼けよ、わたしに
ひと呼吸ほどのきぼうを
わけてなんて言わない
身勝手にすくわれることを
だまって見過ごすんだろう
パラボラアンテナは南向き
小さなため息があわく
まんまるあったかい夜明け
まるでこどものように
ささいなしあわせでいいんだよ
それで生きてきたよ
いつまでだって待てるよ
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