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なかないことり
そこらへんの
そのあたりの
小枝にとまっていたはずの、小鳥が
ある日を境に
うたわなくなった
居なくなった
わけではなく
あの、心地よくも日常的なさえずりを
どうやら飲み込んでしまっているようで
それははじめ
さみしいような気もしたけれど
今ではもうそれはそれとしてそうなっているから
ふとした思いつきなんかで
「どうして」などとは
聞けなくて
きっと
羽ばたかない翼だとか
瞬かない瞳だとかに寄りそう
それぞれのかなしみを
見てみぬふりすることが、
すでにそれ自体が世界で
かつて自由を掲げた女神も
今はただの石像であるように
その見つめる先にあるのは
自由の海原ではなく、海という概念にすぎない。
いつから
ヒトは
問うことをやめたのでしょうか
生まれた意味を
生きる意味を
考えてはおびえて
泣いていたこども
抱きついても大人は
答えを持たない
空が動くのは
空が動いているから?
異議申し立て、異端者
そのはぐれものが
世界を一歩、未来につないで
それからひとつ、恐怖をあたえた
ヒトは怖いことがきらいだから
だから毎日をあたりまえに生きて
ときどき希望をうたって
それで満足する
それがしあわせというものですか?
ことりは、絶望を知ることりは
色々と考えたあげく
やはりうたうことを選んだ
どうせの日常ならば
うたわないより
うたう方が
ずっといいもの
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