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*春雨はまだつめたく*
雨と雨のすきま
自販機の明かりが
浅い呼吸を
ゆるしてくれた
冬の終わりの
錆色の夜
よく知りもしない人に
別れを惜しむ言葉を送った
こういう時
うまくやれない
もどかしさと
うまくやったところで
どうなるかの
葛藤で
自分がどれだけ
ささいな人間かということに
気づいてしまう
ほつれた糸くずのように
捨ててしまえば
社会人みたいなものに
なれるかもしれない。
けれどもその糸は
結局は一本だからと
ほどこうとする子供です
私、やっぱり
うまくは言えないから
よく知ることもできないままに
ありきたりの「ありがとう」で
おしまいになってしまって
雨と雨のすきまを
走り抜けては
混ざりきらない紺と鉛の向こう側
自販機を道しるべに
またとりとめのない日々へと
帰っていく
明けたら少しは
ましな色になるだろうか
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