夜桜舞い踊る季節の中で

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  春はあけぼの、夢うらら……たくさんの出逢い、そして別れ。 一般的に『春』と聞くと、ほんわかしたイメージ、そして環境的にいえば、入学、卒業、入社、転勤、引っ越し……などなど。 一年の間で、おそらく最も数多くの喜怒哀楽が交差する季節、春。 そんな中、小さな恋の物語が幕を開ける。 「え?」 九州発・もっちもちの白いたい焼き屋さんのチェーン店が県下で初めてオープンしたのが一昨日の事。 仕事が忙しくて三日目の今日、ようやく閉店間際の行列に並ぶ事が出来た。 実は、オープン前から楽しみにしていたんだけど…… 「申し訳ございません。あいにく品切れになってしまいまして……お二人方のどちらかの分しか残っていなくて」 いかにもマニュアル通りの店員の言葉を受けたのは、最後尾に並んでいた私と少し大人な感じの男性。 清潔感の溢れるコロンの香りに、思わず胸がキュンとなる。 ふと、目が合う二人。 切れ長の目。長身に似合うタイトなスーツを然り気無く着こなすその男性は、改めて見てみるとかなりのイケメン。 「あ……わ、私いいですよ? それじゃ!」 一瞬にして自分が赤面してしまったのを感じ、恥ずかしさのあまり、私はその場から逃げるようにして店の外へと飛び出した。  
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