1人が本棚に入れています
本棚に追加
「さっきは悪かったね。笑ったりして」
ちょうどすぐ近くにあった公園のベンチに腰をかけた彼は、お茶のペットボトルを差し出しながら再び私に微笑みかける。
「あ……いえ。ありがとうございます」
私は俯き加減でペットボトルを受け取った。
「俺さ、このたい焼き食べんの、何気に楽しみにしてたんだよね。本当は開店初日に食べたかったんだけど、仕事が忙しくって」
「あ! それ、私も一緒です」
「そうなんだ。じゃぁ……同時に食べてみる?」
大人っぽい雰囲気のくせして、ふと見せる子供のような悪戯な微笑みが、私の胸のトキメキに拍車をかける。
ヤバいな。
私、やっぱりこの人に一目惚れかも。
「じゃあ、行くよ。せぇの……」
不意に掛けられた掛け声に、慌ててたい焼きにかぶりつく私。
(あ……)
「美味しい!」
「旨い!」
どちらからともなく視線を合わせた二人は自然と笑い合う。
たい焼き自体、初めての食感というのもあるし、本当に美味しくてあっという間に平らげてしまった。
「でも、良かったな。君みたいに可愛いコと一緒に食べられて。何か、一人で食べてもって感じ……だよね」
「ふふふ……私の方こそ。貴方みたいに素敵な……あ! いや。食べ損ねたたい焼き食べられて嬉しいです」
いけない。
また、顔が紅くなってる。
最初のコメントを投稿しよう!