夜桜舞い踊る季節の中で

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  「さっきは悪かったね。笑ったりして」 ちょうどすぐ近くにあった公園のベンチに腰をかけた彼は、お茶のペットボトルを差し出しながら再び私に微笑みかける。 「あ……いえ。ありがとうございます」 私は俯き加減でペットボトルを受け取った。 「俺さ、このたい焼き食べんの、何気に楽しみにしてたんだよね。本当は開店初日に食べたかったんだけど、仕事が忙しくって」 「あ! それ、私も一緒です」 「そうなんだ。じゃぁ……同時に食べてみる?」 大人っぽい雰囲気のくせして、ふと見せる子供のような悪戯な微笑みが、私の胸のトキメキに拍車をかける。 ヤバいな。 私、やっぱりこの人に一目惚れかも。 「じゃあ、行くよ。せぇの……」 不意に掛けられた掛け声に、慌ててたい焼きにかぶりつく私。 (あ……) 「美味しい!」 「旨い!」 どちらからともなく視線を合わせた二人は自然と笑い合う。 たい焼き自体、初めての食感というのもあるし、本当に美味しくてあっという間に平らげてしまった。 「でも、良かったな。君みたいに可愛いコと一緒に食べられて。何か、一人で食べてもって感じ……だよね」 「ふふふ……私の方こそ。貴方みたいに素敵な……あ! いや。食べ損ねたたい焼き食べられて嬉しいです」 いけない。 また、顔が紅くなってる。  
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