§第1章

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「やだ、こ、こわいよ、隼人」 震えが、止まらなかった。 無意識に枕元に置いている携帯電話に手が伸びる。 『本木隼人』 発信履歴から隼人の名前を探し出して、電話する。 ブルルルル……。 本木隼人は、交際歴1年半になるあたしの彼氏だ。 お互い、遠慮しあわない仲になった。 深い仲にもなった。 「どうして出てくれないのよ!」 あたしは、携帯電話をベッドにたたきつけた。 深夜4時4分の発信。 隼人が出ないことくらい、わかっている。 わかっていても、電話をかけずにはいられない。 リアルすぎる夢に、目を閉じることさえ、怖かった。 ふとんを頭まですっぽりとかぶって、じっと朝が来るのを待つ。 一睡もできないままに、夜が明けていくのだった──。
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