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「やだ、こ、こわいよ、隼人」
震えが、止まらなかった。
無意識に枕元に置いている携帯電話に手が伸びる。
『本木隼人』
発信履歴から隼人の名前を探し出して、電話する。
ブルルルル……。
本木隼人は、交際歴1年半になるあたしの彼氏だ。
お互い、遠慮しあわない仲になった。
深い仲にもなった。
「どうして出てくれないのよ!」
あたしは、携帯電話をベッドにたたきつけた。
深夜4時4分の発信。
隼人が出ないことくらい、わかっている。
わかっていても、電話をかけずにはいられない。
リアルすぎる夢に、目を閉じることさえ、怖かった。
ふとんを頭まですっぽりとかぶって、じっと朝が来るのを待つ。
一睡もできないままに、夜が明けていくのだった──。
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