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「はあ? ホラー映画の観すぎだろ」
「隼人、本当だってば!」
「あのなー、夢の中のできごとが、現実に起こるわけないだろ」
あたしがどんなに説明しても、隼人は一向に信じてくれなかった。
鼻先で笑いながら、お互いの教室に向かっていく。
「あれ? 今日、美咲のクラス、騒がしくねぇか?」
「またそうやって、はぐらかす!」
「だって、見てみろよ、ほら」
隼人が2-Bの教室を指差した。
廊下にまで、クラスメートの騒いでいる声が聞こえている。
あたしは、教室の前で隼人に別れを告げて、足早に教室の中へ入った。
「なにかあったの?」
「あ、美咲。転校生がくるんだって」
「今頃?」
「そうそう、今頃、ね」
9月上旬のこの時期に転校生?
「今日は、転校生を紹介する」
担任の飯田先生が、転校生をつれてきた。
小柄で華奢な体つきにくびれたウエスト。
肩までのストレートな黒髪をかきあげて、照れくさそうに舌をぺろっと出す。
飯田先生が、黒板に「花村夏帆」
と書いて、紹介した。
「かわいくない?」
「ってか、最高!」
男子たちが、夏帆を見て、一斉に目を輝かせた。
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