§第2章

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あたしは、夏帆を見て、思わずホッとした。 『あたしのクラスで良かった』 だって、可憐で清楚で、とてもかわいいのだ。 隼人のクラスにいたら、隼人だってきっと見惚れるにちがいない。 「夏帆ちゃん、こっち向いて」 「いや、こっちだって、こっち」 男子全員が、夏帆を見ているのに、なぜか夏帆はあたしを見ていた。 目をそらすこともなく、あたしだけを見ている。 まるで蝋人形のように、微動だにしない。 「なあ、夏帆ちゃん。こっち向けよ」 その瞬間、雷鳴が轟いて、騒がしかったクラスは一瞬沈黙した。 稲妻の光に導かれるように、夏帆の姿が浮かび上がる。 光の加減か、まるで骸骨のように浮かび上がった夏帆の体。 雷がスポットライトのように夏帆を照らし、一瞬異様な雰囲気になった。 瞬間、夏帆は「きゃー」と叫び、雷を怖がる仕草をみせた。 そのあまりにもかわいらしい仕草は、男子を一瞬の間に虜にしてしまった。
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