はじめに

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『ふぅ~~…』 海岸線の駐車場に車を停めてホテルで入れてもらったコーヒーをすする 季節外れとは言っても綺麗な夕陽が拝めるこの場所は地元の若い恋人達の絶好のデートスポットだ そんな場所に不釣り合いに男1人で屋根の無い車で乗り付け、コーヒーを飲む俺に隣のカップルが哀れみの視線を遠慮なく投げてくる 『悪かったな、不釣り合いオッサンは消えるよ』 独り言を言いながらイグニッションを捻りギアを入れてスルスルと静かに走りだす 駐車場を出てそのまま海沿いを走る事5分 《海の塩》 さっきの駐車場と変わり無い位のロケーションの良い駐車スペースが目に入り、車を乗り入れた 海水から塩を作っているらしい店の主人が乗り入れて来た俺に近づいてきた 『悪いない、もう仕舞いなんだわ』 人懐っこい笑顔で話しかけてきた老人に訳を話し、車を停めさせて貰えるように交渉した 『なんね、そっただ事。あぁいいって、好きなだけどんぞ』 老人の言葉に礼を言い、沈み始めた夕陽を眺めながらタバコに火を点ける 辺りが暗くなりはじめ、時折行き交う車のライトが横顔を照らす 陽は完全に落ち、夜の帳に包まれる 美味いコーヒーと煙草に夕陽 『最高に贅沢だ』 自分の口から出た言葉ににやけながら車をスタートさせた。 17:44を表示している時計を見ながら考える “もう一泊…。いや、帰るか…” 『飛ばせば日付が変わる前に着くな…』 お決まりのように独り言を呟き高速道路を目指す 高速に乗り、待ち人の居ない部屋を目指しアクセルを踏む 前方を走る大型トラックを追い越し幾つものテールランプを抜き去りながらひた走る 走り出して2時間 🚻🍴のサインが出ているSAの看板が目に入り、ウインカーを出してパーキングエリアに滑り込む。
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