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一体何のことだろう。ミィはピンとこなかった。
「餌や水のほかにも、おもちゃを隠したりしてさ、ほんとに、ごめん。」
ミィはわずかに残った記憶をたどる。
まだミィが家に来たばかりの頃、いつの間にか餌置き場の餌や水が床にこぼれていることがよく起きた。ミィがしたことではないのだが、奥さんは汚れた床を見るたびにミィを叱った。何も心当たりがないミィは、ただうろたえるだけだった。ほかにも、お気に入りのボールや猫じゃらしがなくなっていることが何度かあった。
「親や姉ちゃんがミィのことばっか心配するからさ、俺、いつもお前にちょっかい出してた…」
そうか…怪奇現象の犯人は、陽介くんだったんだ。やきもちとかいうやつだな。猫の世界にもあるから、陽介くんの気持ちはよく分かる。
「ほんとに、ごめんな。」
陽介くんの目に涙がにじんでいる。
そんなこと、もう気にしていないって。
ミィは仲直りのしるしに、涙をぬぐう陽介くんの左腕に、右足をポンと乗せた。
「ミィ…許してくれるのか?」
もちろん。ニャンと答えて返事した。
「ミィ…ごめんな…」
陽介くんは、ミィをしっかりと抱き締める。
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