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陽介くんと遊んでいると、一階から奥さんの声がした。
「陽介、お風呂に入っちゃいなさい。」
「今行く。」
陽介くんはランドセルを机に置いて階段を降りていく。
陽介くんの部屋を出たミィは、旦那さんの部屋から明かりがもれていることに気がついた。空いたドアのすき間から部屋に入る。
「お、ミィか。」
読書をしていた旦那さんは、ミィを抱き上げてひざの上に乗せた。
「お前が来てから、この家も変わったな。ずいぶん明るくなった。」
旦那さんは読書用の眼鏡を外して机に置き、ひざの上のミィをやさしくなでる。
「仕事でどんなに疲れていても、家でミィや小百合たちの笑顔を見ると、元気が出てくるんだよ。」
そう言って旦那さんは椅子にもたれ、両手を後ろに組んだ。
「ミィ…お前にしか言えないことだが…以前父さんは、母さんと別居することを考えていたんだ。」
ベッキョ?離れ離れになるってこと?
「母さんといろんなことですれ違いがあってな。しょっちゅう口論したし、小百合や陽介には迷惑をかけた。」
旦那さんと奥さん、仲がよく見えたけど…そんなことがあったなんて知らなかった。
「お互いピリピリしていた時に、ミィが来たんだ。」
旦那さんは手を伸ばし、本棚から何かを取り出した。
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