546人が本棚に入れています
本棚に追加
パソコンを操作しながら、奥さんはミィに話しかける。
「最近、ブログって流行ってるじゃない。タダで簡単に始められるっていうから、私もやってみたの。」
奥さんは旦那さんと同じようにミィをひざの上に乗せ、パソコンの画面を見せた。
「ミィの日記よ。小百合が拾ってきた日から、ほぼ毎日書いてるの。」
画面には、文章の横にミィの写真がのっている。
「最初は娘が猫を拾ってきちゃってどうしようとか、鳴き声がうるさいとか、そんな内容ばかりだった。でも、日記を見た人から、いろんなアドバイスやコメントをもらったのよ。今では一日に何十件もアクセスがあるの。」
ミィは機械のことはよく分からない。でも、奥さんが書いた日記を、たくさんの人が見ているんだな……
「携帯電話でミィの写真を撮って、文とともに更新して…そうしているうちに、何だか毎日が充実したものになってきた。ミィの成長を見守ると同時に、自分も成長した。そんな気がするのよ。」
奥さんはそう言いながら、パソコンの画面を切り換えている。
「今思うと、あの頃の私はいつもイライラしていて、すぐ怒ってた。今とはまるで別人ね。」
2階から誰かが降りてくる足音を聞いて、奥さんは慌ててパソコンの画面を閉じる。
「このことは秘密よ。家族に知られたら恥ずかしいからね。」
最初のコメントを投稿しよう!