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「で、いかがでしたか? 久しぶりに御台さまにお会いになって?」
「そうじゃな、以前と比べてずいぶんと気丈になられたようじゃ。本丸におった頃は、なよなよと頼りないばかりで、人形のようなお方であった」
「孝子さまは上様のことを『以前よりも凛々しくなられた』とおっしゃってましたよ」
「そ、そうか…」
芯を短く切った行燈の灯りが照らす御小座敷は、いつものようにほの暗く、照れくさそうにうつむいた上様の長いまつげが、頬に濃い影を落とす。
くっそー、いい男だなぁっ!
これで見納めだなんて、残念でしょうがないよっ。
でも、あたしは気を取り直して、孝子さまのプッシュを続ける。
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