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で、なんで今こんな話をしているかって言うと……
今日、仕事帰りに轢き逃げされた。
意識はうっすらあるものの、体の感覚がまったくない。
こんな時に昔の記憶が鮮明に蘇る。
いわゆる走馬灯ってやつだな。
幸い、すぐに救急車を呼んでくれた人が居たらしく、重傷ながらも命に別状なく1ヵ月ほどで退院した。
入院中、警察がきて色々話したんだけど、犯人は逃走中に単独事故をおこして亡くなったらしい。
救急車を呼んでくれた方にお礼を言いたいと申し出ると、警察からは……
「それが……
『シャムと言えば分かると思います。13年前の恩返しがしたかった』
と言って姿を消してしまったんです。綺麗な、まるで外人さんのような女性でしたが、お知り合いでしたか?」
あぁ……こんな不思議なことって、本当にあるんだな。
警察官の目の前で、いい年の男が恥ずかしげもなく号泣した。
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