日常

3/4
前へ
/171ページ
次へ
 確かに俺はS駅着の快速列車に乗った。そして意識を失った。起きた時に停まっている駅で降りればそこはS駅のはずだった。しかしここは? 「Sってこんなに寂れてたっけ?」  看板看板……あ、あった。 「りくまえ…やまおう?」  何処よ! 少なくとも日本じゃねえ! 中国まで来たってか!! 参ったね… 「電波入ってっかな…」  携帯を取り出すと、バリ3だ。よし!  プルルルル…プルルルル… 「…………出てくれ~!」  ガチャ… 『は~いもしもし~』  来た! 「すまねえマモっつぁん! 『りくまえやまおう』ってどこだ?」 『はぁ? なにいきなり』 「電車寝過ごしたら中国に来ちまったんだよ! きっとT本線ってオリエント急行と提携してんだろ?」 『朝から何を寝ぼけてんだ。んなわけねえべ。しかもそんな駅は聞いたことねえ』 「じゃあここは何処だ! やっぱり日本じゃねえんだ!」 『…待て。駅の名前をもう一度言え』 「りくまえやまおう」 『……………………………………紫苑』 「あ?」 『落ち着いて聞けよ』  やべえ…やっぱりか! 『すぐに上り線に乗れ』  は? 「なんで? 北京にでも行けば領事館が有るからか? でも渡航記録とかねえよ?」 『んなこと知ってるくせして漢字一つまともに読めもしねえんだから参るよなホント』 「な、なんだよぉ!」 『とにかく上り線だ。あとはお前次第だな』  ブツッ…ツー、ツー、ツー… 「…………………上り線か」  大人しく不法入国罪でしょっぴかれっか。  完全に遅刻だ。 「おぅお早う。どぉだった? 中国旅行は」 「騙したな…あの駅は日本じゃねえか」 「誰も中国だなんて言ってねえだろ」 「くっそぉ…」 「それから一限目の授業で結構ためになる話聞いたぞ。ご愁傷様」 「くっそぉぅ!」 「今お前は伝説になってるぞ」 「は? なんで?」 「そりゃあ、なぁ」  ……俺いつバラモスとかゾーマを倒したっけ? ってか俺の何処にロトの紋章が? 「りくまえやまおう…ね」 「?」 「色んな駅でどんなアクションするか楽しみだな」  なんなんだよ!
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

139人が本棚に入れています
本棚に追加