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「た~だいま~ぁ」
「あ、お帰り」
「ほれご注文の品」
「わぁありがとう!」
コイツは…知ってるのかな?
「なぁ蘭?」
「んん?」
「りくまえやまおうってな~んだ?」
分かるまい! 俺でさえつい三十分前に知ったばかりなんだからな!
「陸前山王(りくぜんさんのう)がどうかした?」
「ッッ?!?!?!?!」
読んだ?! 俺の心を読んだのか?! 畜生ォ!
「どうしたのお兄ちゃん…」
「いや、なんでもない」
畜生ォ…駄目だ俺…
「……お兄ちゃん」
「大丈夫。お兄ちゃんは大丈夫だ」
「いや違うから」
「大丈夫だって。心配すん…」
グギリィッ!
くっ、首がァァァッ! いきなり人の首を回す奴がいるか!
「いってえな! なんなのさ! じゃれたいの?」
「これはなに」
……何って…
「ご注文の品」
「ほ~ぉ。モカブラウンのブローネが?」
「どのみち婦人用なんだから」
「白髪染めだろコレ…んでコンデンスミルク?」
「薄めれば牛にゅ…」
「誰が飲むんだ。それにこれ獅子唐じゃん」
「形はあんまし変わらねえから問題ねえ」
「……あれ? 豚バラは?」
「あぁ、もう有るから買わなかった」
「…え? 昨日の冷しゃぶにした時に全部使い切ったと思ったけど……?」
何言ってんだコイツ。豚バラならさっきから有んだろ。
ふにっ…
「ひゃっ?!」
蘭のお腹を一摘み…柔らかい。昨夜の冷しゃぶが効いたな。
「こんな所に豚腹(ブタバラ)が…」
その後の事は覚えてない。ただ、余りに轟く雷鳴に一瞬で風が凪いだのは確かだ。
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