百物語

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65 :3/4[]2008/10/26(日) 00:16:32.20 ID:x1b4PxfB0 127 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2008/06/29(日) 20:52:06 ID:12zK8WMX0 イヤホンからは稲川氏の早口なしゃべりが聞こえてきます。 正直、体力が落ちているこの時間くらいになると、 何を言っているのか聞き取ることができません。 かなり疲れてきていたのか、無意識に目を閉じていたようです。 不意に、音声が途切れました。 あ、終わったのかな?と僕は目を開けました。 話がおわると消えていく、100本ろうそくの画面が出るはずです。 しかしそこには違うものが映っていました。 顔の下半分がグニャグニャに歪んだ老婆の顔のアップでした。 元は何かの話のクライマックス用のビジュアルなのでしょうか。 大きく口を開けた老婆がこちらを凝視していました。 ディスクの読み込みエラーなのかもしれません。画面の下半分だけが 痙攣したようにブルブルと震え、 それに合わせて老婆の口もグネグネと歪みます。 イヤホンからは稲川氏の声。 「……ジーッと見ているんですよ。……ジーッと見ているんですよ。 ……ジーッと見ているんですよ。……ジーッと見ているんですよ。……」 そこの部分だけが繰り返し再生されます。妙にゆっくりと。 ソフトのフリーズはしょっちゅうですが、こんなエラーの仕方は初めてです。 やがて、リピートしていた稲川氏の音声にブツブツと雑音が入りはじめました。 SSはディスクを読み込もうとガリガリいい出しています。 未セーブ分の時間が勿体ないとは思いましたが、 僕は怖くなり電源を落とそうと手を伸ばしました。 .
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