百物語

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66 :4/4[]2008/10/26(日) 00:17:20.68 ID:x1b4PxfB0 128 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2008/06/29(日) 20:52:28 ID:12zK8WMX0 その瞬間、稲川氏の声がブツリと途絶え、 ゲームに収録されているSE(効果音)が滅茶苦茶に再生され始めたのです。 クラクション音、風の音、カラスの声、すすり泣き、雨音、そしてゲタゲタ笑う少女の声。 老婆の画像のぶれもどんどん大きくなり、顔全体が引きつったようにガクガクと歪んでいました。 僕は電源スイッチを叩き切りました。 切る瞬間、男の声で 「遅ぇよ」 と聞こえたのを覚えています。 そんなデータは、なかったはずですが。 僕は、逃げるように席を立ち、近くでぐったりしていた同僚をたたき起こして 無理矢理コントローラーを押しつけました。 彼は急に起こされて訳の分からないという表情でしたが 怖いから続きをやってくれ、という僕の頼みにニヤニヤしながら替わってくれました。 明らかに小馬鹿にている様子でしたが、仕方ありません。 しかし、数分もしないうちに彼は不機嫌そうに戻ってきました。 「データ飛んでるぞ」 スイッチが切られ、モニタには何も映っていません。 しかし、微かに映りこみがあったようで、先刻の老婆の輪郭がぼんやり残っていました。 本体の蓋を開けた状態で電源を入れます。これでセーブデータの確認ができます。 本体メモリにセーブデータを保存していました。しかしデータが壊れていました。 正常ならソフト名の欄に半角カタカナで「ヒャクモノガタリ」と明記されているはずなのですが、そこには 「ギギギギギギギギ」 と羅列してあったのです。僕はすぐにそれを消去しました。 どうするんだ?と訪ねる同僚に、僕はバックアップ用の外付けメモリロムを渡しました。 10話ほど遡るけどここにもデータが入っているからこれで100話クリアして欲しいと頼みました。 当然嫌がられましたが、何でもするからと懇願し、渋々承諾してもらいました。(このせいで後で別の意味での恐怖体験を味わうことになったのですが、オカルトではないので省略します。) 結果的には、例の裏技は普通に始まり、 電話の相手の取り残しかデータの読み込みミスだろうということで決着しました。 .
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