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神様っているかな。 ちゃんと私の事.見てくれてるかな…― * "家"という名前の付いた大きな箱には.幼い頃から張りつめた重たい空気が流れていた。 少しだけ気の休まる学校が終わって。 箱から逃げたくて始めたバイトが終わって。 帰るのを拒むんだ.自転車を漕ぐ私の足。 夜道は対向車の眩しいライトで目が眩む。 そのライトが濡れた頬を照らし.冷たい風に泣いている事を思い知らされる。 暗く冷たい廊下。 積まれた段ボールに躓きながら部屋へ向かう。 わざと流した水の音が響くトイレ。 出しっぱなしのシャワー.ヒヤッと身震いする浴室。 私が1人で泣ける場所だった。
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