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夜のとばりが降りて、星が夜空に輝く。
そして、その星空の下で祓達は“百鬼夜行”を待っていた。
「何で百鬼夜行は来ないんだ!!!!」
…血管がぶちギレる寸前まで怒りながら。
「まぁまぁ祓…」
煌夜も祓をなだめつつも、やはり百鬼夜行が来ないかと星空の間に目を走らせている。
しかし、見えるのは満天の星空のみ。
「この間に焔に何かあったらどうするんだ!!!!!」
怒りと心配を入り混じらせた表情で、祓は焔のいる方向を見る。
…もちろん、焔が見えることは無いのだが。
「大丈夫だって、祓。焔君だって弱くないんだから。」
あの年でレベル6を倒せるんだったら、一般的にはたいしたものだ。
「確かにそうだけど…!!!」
だけど心配なんだよ。
祓はその言葉を辛うじて呑み込む。
口に出してしまったら…現実になってしまう気がして…
祓は煌夜に気付かれないようにこっそりとため息をつく。
そしてそれを恥じるように拳を握り締め、百鬼夜行への不満を口に出そうとした時。
「祓!!!」
煌夜が大声をだして空の星を指差す。
いや…正確には星の間に見える“百鬼夜行”を。
「来た!!!」
祓も、さっきまでの怒りはどこへやら。
パッと顔を輝かせ、ポケットの中に入れていた符を取り出して構える。
そして
「煌夜、5分だ。5分で片をつける。」
珍しく真剣な目をして煌夜に向けて言葉を放つ。
5分。
それが、この百鬼夜行に割ける最大限の時間だ。
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