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…………な!!!?
焔は急に横から現れた、自分を助けた(であろう)攻撃を見て、思わず絶句する。
これほどの使い手、十六夜家にはいなかったはず…
それは、身震いするほどの力。
自尊心の高い焔が素直に尊敬できるに値する実力者。
日の光に出ていないのが不思議な程の…
いや。強すぎるから日の光に出れなかった…??
なんにせよ…今まで焔が出会ってきたどの陰陽師よりも、強い。
それも、圧倒的なまでに。
「だ…」
“誰だ?”
そう言おうとした声は喉に阻まれ、息だけがその静寂を支配する。
しかし。ようやく起き上がった妖がその支配された空間に入り込む。
「━━━━!!!」
慟哭をあげ、怒りに身を任せながら。
まるで、吹っ飛ばされたことは夢だったのだとばかりに。
ただ、…それが夢ではなかっただけの話。
「雷」
抑揚の無い声が、邪魔な羽虫を払うかのようにあげた声一つで、妖はみるも無様に吹っ飛び━━
塵となって、消えた。
すごい…
焔は、その技量もさることながら、見事な雷の符に圧倒される。
あそこまで強い符は、一度も見たことがない。
そして…きっとこれから先も。
それ程までに、他を威圧していた。
「安倍 晴明…」
焔の口から、思わずその名が呟かれる。
稀代の大陰陽師 安倍 晴明。
妖狐を母にもつと噂される程に、その力は凄まじかったと聞く。
そう正に…今目の前にいる陰陽師の如くに。
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