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「すごいな。焔は立派な陰陽師になれるぞ。」
祓も小さな弟の功績に微笑み、もう一度焔の頭を撫でる。
そして、兄弟2人が仲むつまじく符を作っていると
「祓。焔。」
後ろから穏やかな声で名前を呼ばれて、2人は同時に振り返る。
「滅兄!!!」
「滅兄さん!!!」
2人は、振り返った先にいたもう1人の兄を見て、ワッと駆け寄る。
「お仕事終わったのっ!?」
ニコニコと笑いながら聞く焔に滅は
「終わったよ。」
穏やかな笑顔で返す。
滅が狩りにいったのは、レベル6の妖だ。
10歳にして、大人顔負けで妖を狩るその技量は、十六夜家の中でも突出していた。
穏やかな笑顔を絶やさずに妖を狩る姿から“微笑みの死神”という異名までついているらしい。
「今回はどんな感じだったの?」
祓も親愛する兄の戦いぶりを聞こうと、ワクワクしながら滅の方に身を乗り出す。
「ん?いつもといっしょ。“散”で倒したよ。」
それを言う時、滅の祓を見る顔が一瞬だけかげる。
しかし、祓が気付く間もなくすぐに穏やかな笑顔に戻ると
「それより焔と祓はどうなんだ?」
2人の弟を見て、それから頭をヨシヨシと撫でる。
2人はくすぐったそうに少し笑ってから
「僕、1人でレベル1を倒したんだよ!!!」
まずは焔が胸を張りながら滅にブイサインをつきだす。
それを見て
「すごいな。」
滅はもう一度焔の頭を撫でる。
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