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情報屋として活動する傍ら、古高は武器も取り扱っていた。
僕たち長州の志士は、京を終われた人間だ。
そんな奴等のために、古高はずっと活動してくれていたんだ。
だけど最近。
あの幕府の駄犬供が、それを嗅ぎ付けてきているという。
昨夜宮部らが言っていたように、既に何人かの同士は新撰組に捕らえられている。
そこから漏れたのだろう。
まだ、古高自身や枡屋の存在が知られたわけでは無いが、時間の問題だろうということだった。
「ね?
ちゃんと聞いてたでしょう」
にやりと笑うと、桂はわざとらしくため息を吐いた。
「聞いていたなら、それで良い。
宮部や古高に、気を付けるよう言っておいてくれ。
特に古高には、証拠になるような文やらは処分するように……」
「分かってるよ。
昨日もそんな話してたし、宮部は大丈夫だよ。
古高のところには、今からでも行ってくるよ」
僕がそう言うと、桂は安心したようだった。
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