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「ところで稔麿。」
「なに?」
「お前は何度言ったら分かるんだ?
『宮部』じゃなくて、『宮部さん』だろう!」
桂の小言が始まった。
僕は肩を竦めて、片耳を押さえた。
「ちゃんと聞け!
お前は誰でも彼でも呼び捨てにして……
子供じゃないんだから、いい加減に敬語を覚えろ!」
こういうときは、さっさと退散するに限る。
聞き流しながら、出入口に向かう。
だけど、どうしても一言いいたくて、振り返った。
「ねぇ、知ってる?
敬語って、敬っている相手に使うための言葉なんだよ。」
分かった?桂。
って続けて、慌てて逃げれば、桂の怒鳴り声が響いていた。
全く五月蝿いおっさんだ。
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