第二夜

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重い体を引き摺りながら、今日も私は見知らぬ男に抱かれるための化粧をはじめる。 この頃、吉田様にお会いした翌日はいつもに増して疲れる。 吉田様は、私を抱こうとしない。 抱いてほしい気持ちと、吉田様を汚してはいけないという気持ちが交差する。 そんな気持ちとは裏腹に、慕ってもいない男に抱かれる私は、本当に汚い。 「お瀧ねえさん。 女将さんが呼んではります。」 襖の向こうから声をかけられ、はっとする。 「今向かいます。」 声の主の禿はまだ八つで、その甲高い声は苛立つ私の癇に触る。 気持ちを落ち着ける為にひとつ、息を吐き女将のもとへ向かった。
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