第二夜

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そういえば、新撰組の方々とお顔を合わせるのは初めてだと思い出す。 時折街で、揃いの浅葱色の羽織を纏う彼らを、遠目で見たことがあるくらいだった。 彼らには、おどろくほど良い噂がない。 酒と女におぼれている人斬り集団。 これが、街の人らの彼らの評価だった。 京都守護職・会津・松平公の名の下に、烏合の集である彼らが武士の真似事のようなことをするのが、歴史と血を重んじる京の人々は受け入れるのが難しいらしい。 それに、最近は聞かなくなったが彼らが京に来た頃は、かなり街の人たちに無茶を言ったりしていたと、客の一人が言っていた気がする。 当然、色街での評判も良くは無い。 乱暴なことをされなければ、それで良い。 そんなことを思いながら、私室に戻った。
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