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高杉が動けない以上、僕は僕の出来得る限りの事を起こさなければならないだろう。
僕の低い身分も、多少は役にたつようだと不覚にも思う。
政変で京を追われたからといって、幕府に嘆願書を出すなんてことが、そもそも間違っているのだ。
こうなれば、京都に留まることになったのは最早宿命のようにさえ感じる。
それに、この街にはお瀧がいる。
僕を眠らせてくれる、お瀧。
留まることになり、また傍で眠れると思うと口角が上がる。
僕らしく無い、と気と口元を引き締めたが、桂はそんな僕の表情を、目敏く見ていた。
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