第二夜

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部屋を出ようとする僕の背中に、桂の声が飛んできた。 「稔麿。 好いた娘が出来たのなら、あまり無茶はするな。 お前は昔から、前しか見ない。 たまには隣や後ろを振り返ることも必要だ。」 僕の唇からは、ふっと笑いが漏れた。 「隣や後ろは、いずれ見る機会ができる。 ・・・でも今は、今は前だけを見ていたいんだ。」 振り返らずに、それだけ言って部屋をでた。 先生。 復讐なんて、馬鹿げたことを考える僕は、本当に大馬鹿だよね。
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