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部屋を出ようとする僕の背中に、桂の声が飛んできた。
「稔麿。
好いた娘が出来たのなら、あまり無茶はするな。
お前は昔から、前しか見ない。
たまには隣や後ろを振り返ることも必要だ。」
僕の唇からは、ふっと笑いが漏れた。
「隣や後ろは、いずれ見る機会ができる。
・・・でも今は、今は前だけを見ていたいんだ。」
振り返らずに、それだけ言って部屋をでた。
先生。
復讐なんて、馬鹿げたことを考える僕は、本当に大馬鹿だよね。
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