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新撰組の方々は、噂とは少し違っていた。
烏合の衆
人斬り集団
驚くほど悪い彼らの噂。
だが、私の隣に座った男はそんな風には見えなかった。
「もう一杯、いかがどすか?」
本質を見てやろうと、その男の瞳を覗きながらしなだれかかる。
腕に手を添えてみた。
「結構。もう充分頂いた。」
その男は、やんわりと私の手を押し返す。
真面目そうな男で、私を見ようともしない。
こんな時、少しだけ虚しくなる。
「…そうどすか。」
興味がないようなので、私は周りを見渡してみる。
酒を煽る者、女に囁きかけている者、男同士で何か議論している者、私の隣の男以外は、皆それなりに楽しんでいるようだった。
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