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そんな私の視線に、何かを勘違いした男が覚束ない足取りで此方に向かってきた。
「お前ぇ、名は何と?」
少し、呂律もまわっていない。
「瀧と申します。
今日は楽しんでくれてはりますか?」
愛想笑いを張り付け、酔った男を支えた。
体の大きな男だ。
美しい外見を持つその大男は、自分に自信があるのだろう。
無遠慮に私の肩を抱いてきた。
「瀧か、今日はお前ぇのところにしようか」
今夜はこの大男に抱かれるのか。
張り付けた笑顔のまま、返事を返さずにいると、隣の真面目そうな男が大男の手を払った。
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