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変わらぬ日々は続く。
吉田様も、来てはくれない。
ぼんやりと男に抱かれる日々が続く。
私の外見は、美しくはない。
煌びやかに着飾る他の女たちからは、いつも甘い香りがする。
だが、私は石鹸で充分だった。
変化など要らない。
何度も肌を重ねる相手も要らない。
女将に言われるまま、ゆらゆらと流れる生き方が性に合っている。
だから私は、極端に客が少ない。
しかし、誰もが嫌がる客も決して断らないので重宝されていた。
この終わらない夜をいつまで続ければ良いのだろうか。
そんな事を考えていると、襖の向こうから声をかけられた。
甲高い声が、吉田様の名を告げた。
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