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「何も答えてくれないんだ。
ふうん。」
わざと小さなため息を溢すと、勢いよく彼女は顔をあげた。
「ちがいます。
どう思う言うのは、うちが聞いた質問やから・・・」
必死な表情の彼女も悪くない。
なんだか僕は、意地悪な気持ちになってきた。
「もう良いよ。
何度もこうして一緒に過ごしてるのに、お瀧は未だに下手くそな京言葉だし。
僕に心を開いてはいないんだよね。」
今度は大きなため息を吐く。
お瀧からぱっと離れ、彼女に背を向けてみる。
慌てて飛び起きた彼女の気配にすらゾクゾクしてしまう僕は、かなり危ない。
僕に言葉をかけようとしては、何て言おうか悩んでいるようだ。
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