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薄紅色の季節が、もうすぐ終わる。
青葉が美しい季節。
だが、今日の空は珍しくどんよりとしている。
不意に立ち止まった僕は、空を見上げた。
まだ朝早い刻で、人通りは少ない。
ぼんやりと空を眺めていた僕の視界の端に、浅葱色がはいった。
条件反射だろう。
彼らの視界にはいらないように、身を小さくした。
悔しい気持ちも虚しい気持ちも、いつか糧になる。
そう思いながら、息を潜めた。
「新八っつあんがねぇ。
屯所じゃこの話題で持ちきりよ」
会話が聞こえる距離にきた。
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