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「お前が言いふらしてるんじゃないのか?」
新八と呼ばれる男が、隣を歩く大男をにらんでいる。
何の話をしているのだろう。
「瀧だったか?あの遊女。
新八っつあんを骨抜きにするたぁ、驚きだ。
化粧気もなかったし、べっぴんでもねぇのに、よっぽどすげぇ技持ってるんだな。」
「そんなんじゃない。
それに、瀧は美しい。」
ケタケタと笑う品の無い大男に、新八はハッキリと言った。
新八の台詞に、僕の心臓は大きくひとつ跳ねた。
「へーへー。
で、今日もいっちまうワケね。
三日と空けず通うたぁ、えらいハマってるじゃねぇの。」
この浅葱色は、お瀧の客なのか。
拳に力がはいった。
僕は、いつかこの男にお瀧を奪われる。
そう思った。
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