第四夜

5/12

436人が本棚に入れています
本棚に追加
/107ページ
果てたあとの新八様は、今日も優しい。 吉田様を想う気持ちに偽りなどひとつも無いのに、新八様に優しくされると切ない。 まぶたを閉じたまま肩で息をする新八様を、そっと盗み見た。 「どうした?」 気配で分かるのか、まぶたを閉じたまま尋ねられた。 新八様の左腕は私の首の下を通り、その手のひらは乱れた髪の毛を一束弄んでいる。 神経の通っていないはずの髪の毛が、ひどくこそばゆい。 「いえ・・・」 「不思議か? 俺が此処に来ることが。」 新八様の左手が、動きを止めた。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

436人が本棚に入れています
本棚に追加