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「そんな・・・」
「先日、左乃に言われた。
左乃、覚えているか?」
「・・・初めてお逢いした時にいらした、体の大きな美丈夫な方?」
「そうだ。」
まぶたを開いた新八様は、めずらしくニヤリと笑った。
「屯所で、噂になっているらしい。」
「うわさ、どすか?」
「永倉が、遊女にハマった。
三日と空けずに通っている。」
新八様は、愉しそうに言った。
吉田様の事が知られているわけではないのだろうか。
彼の表情からは、読み取ることはできなかった。
「なあ、瀧。
今度、外で逢えないだろうか?
たまには、外を歩きたい。」
新八様は、薄暗い天井を見上げたまま言った。
左手は、再び動き出していた。
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