第四夜

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そんな中、誰が言い出したのか。 いつものように、尊皇攘夷を唱える志士らと集まっていたとき。 京に、火を放とう。 混乱に乗じて、天皇を長州に。 大の大人が頭を突き合わせ、真面目な顔をして大それた相談事をしている姿に、僕はこっそり嘲笑った。 この中の、一体何人が本気なのだろう。 僕らにしても、新撰組にしても、本当に志を持ってやっている奴なんて、ほんの一握りだ。 僕には分かる。 時代が変わろうとするなか、その流れに取り残されることが怖くて、ただ声を上げているやつら。 ・・・僕も人のこと言えないけどね。 笑いを堪えていると、同士のひとりである宮部に睨まれた。
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