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新八様は、初めて夜明けを待たず、お帰りになった。
安堵する私のもとに、般若のような形相で女将が現れたのは、それからすぐのことだった。
「このっ…!」
全てを言い終えないうちに、私の頬は彼女の持つ煙管で打たれていた。
遠くの方で、女将の声が響いている。
火傷したであろう頬が、痛む暇もなく、身体中に鈍い痛みが広がった。
売れてもいない私が、客を断るなど言語道断で。
しかも、あんなにも熱心に通って下さっていた方を。
気が付くと、木に縛り付けられた私は、水を浴びせられていた。
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