第五夜

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答えないお瀧に、久しぶりに逢えることに、逢えない時間に想いを募らせていたのは僕だけなのかと思うと、苛立つ。 「ねぇ、僕には言えないこと?」 肩を掴み引き寄せようとしたとき、お瀧は小さく悲鳴をあげた。 「い、言われへんやなんて… 大したことじゃ……」 嫌な予感がした僕は、こんな時に初めてお瀧の帯を解いた。 紐を一本一本取る間中、指が微かに震えた。 「急に、どないしはったん? 自分で脱ぎますから、行灯を」 「ちょっと黙ってて。」 襦袢越しにも解るほどの痣が、躰中にあった。 僕が夢見た、柔らかいお瀧の肌に。
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