第五夜

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「客?」 思った以上に低い声が出た。 「ち、違います。」 「じゃあ誰? 頬の奴と同じ奴なんでしょ?」 答えないまま目を反らすお瀧に、肯定だと解釈する。 「客じゃないなら、他の遊女か。 女将……」 お瀧の肩が、ぴくりと反応した。 「…女将か。」 「わ、私が悪いんです。」 「理由なんて、どうでも良いんだよ。 お瀧に、誰が、何をしたかが、問題なんだ。」 お瀧の傷が痛まぬよう、今度はゆっくりと抱き寄せた。
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