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「客?」
思った以上に低い声が出た。
「ち、違います。」
「じゃあ誰?
頬の奴と同じ奴なんでしょ?」
答えないまま目を反らすお瀧に、肯定だと解釈する。
「客じゃないなら、他の遊女か。
女将……」
お瀧の肩が、ぴくりと反応した。
「…女将か。」
「わ、私が悪いんです。」
「理由なんて、どうでも良いんだよ。
お瀧に、誰が、何をしたかが、問題なんだ。」
お瀧の傷が痛まぬよう、今度はゆっくりと抱き寄せた。
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