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夕方、女衒に手を引かれた私は、七年間育った家を後にした。
四半刻ほど歩いたとき、女衒に忘れ物をしたと伝え、家に戻った。
逃げる気など、さらさら無かったが、女衒は家の側まで付いてきた。
問題無い。
一瞬で終わる。
家に入った私は、私を売った金を抱え、酔い潰れて寝ている父の背後に立った。
刀など、家には無い。
立て掛けてあった、平鍬を振りかぶり、父の首目掛けておろした。
二度か三度目、脆弱な平桑は壊れた。
だが、父も動かなくなっていた。
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