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明らかに様子のおかしいお瀧に、僕は何も言えなかった。
廊下で一人立ち尽くしていると、先程の愛想の悪い禿が来た。
「ねぇ。
ちょっと用があって今日は帰るけど、明日も来るって女将に伝えておいて。」
笑顔を向けてみたけど、禿は無表情に頷いただけだった。
こう言っておけば、お瀧今日はゆっくり休めるはず。
長居する意味も無いので、さっさと帰ろうとする僕に、なぜか禿は話し掛けてきた。
「吉田様は………」
「ん?何?」
さっきまで、頑なに無視していたのに一体何なんだ。
そう思っても、流石に子供相手にそんなこと言えないし、見せられない。
古高辺りに見せるような、嘘臭い笑顔を浮かべた。
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