第六夜

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明らかに様子のおかしいお瀧に、僕は何も言えなかった。 廊下で一人立ち尽くしていると、先程の愛想の悪い禿が来た。 「ねぇ。 ちょっと用があって今日は帰るけど、明日も来るって女将に伝えておいて。」 笑顔を向けてみたけど、禿は無表情に頷いただけだった。 こう言っておけば、お瀧今日はゆっくり休めるはず。 長居する意味も無いので、さっさと帰ろうとする僕に、なぜか禿は話し掛けてきた。 「吉田様は………」 「ん?何?」 さっきまで、頑なに無視していたのに一体何なんだ。 そう思っても、流石に子供相手にそんなこと言えないし、見せられない。 古高辺りに見せるような、嘘臭い笑顔を浮かべた。
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